日本の農業は山岳地が多い国土の影響もあって、アメリカなどの大規模農業と競争するのはなかなか難しいものがあります。
TPPなどが取りざたされていますが、この先日本の農業政策の舵取りは国にとっても大きな課題であることは間違いありません。
地方の時代などと言われて久しいですが、都市部への集中は一向に改善されることはなく、過疎化が進んで破綻しかねない自治体も出てきています。
日本の農業問題、そして地方格差問題は低迷する日本そのものを表しているといっていいのかもしれません。
そんな中でひとつの取り組みと言えるのが九州ムラコレ市場です。
九州電力が100パーセント出資している株式会社キューデンインフォコムが運営しているこのサービスは、九州各地にうもれているムラの名産品や新鮮な野菜などを全国の消費者にダイレクトに届けようという意欲的な試みです。
野菜の定期便サービスも人気
九州の食材を使った安全でおいしい加工品や、各地の農家の方々が精魂込めて育てた農産物などがネットやファックスで簡単に注文することができます。
野菜では月に二回定期的に発送する定期便サービスも行っており、安全でおいしい野菜を求める首都圏の消費者にも注目されています。
その野菜は福岡県の名水で有名なうきはの山間部で採れた無農薬、減農薬の自然野菜を流通センターなどの集積所を通さずに直接産地から発送しています。
現在の農薬は以前のものに比べれば格段に毒性や危険性は減りましたが、それでもアレルギーやアトピーの原因の可能性も指摘されていますし、体内蓄積の影響などにはよくわかっていない部分もあります。
そういった意味で産地がわかる、言ってみれば顔の見える安心な商品を宅配してもらえるというのは非常に便利で有意義なことではないでしょうか。
九州というひとつの地方が一丸となって高い付加価値をもった商品を都市部に向けて発信していく。
東日本大震災以降食の安全に不安を抱える東日本の消費者のニーズと地方活性化の試みががっちり噛み合った興味深い取り組みであることは間違いありません。